ブロック行列の行列式(応用1・ブロック三角行列)

基本的なブロック行列の行列式は以下の3つであった。

  1.  \begin{vmatrix} A & O \\ O & D \end{matrix} = |A||D|
  2.  \begin{vmatrix} I & X \\ O & I \end{matrix} = 1
  3.  \begin{vmatrix} I & O \\ X & I \end{matrix} = 1

ブロック三角行列は、上記の基本的な行列の積に変形することで求めることができる。

(応用1-1)ブロック上三角行列
 \begin{bmatrix} A & B \\ O & D \\ \end{bmatrix}
というパターンである(ただし、小行列Aについて、逆行列A^{-1}が存在しているとする。)
このブロック行列はブロック対角行列とブロック三角行列の積で表されるとして、
 \begin{bmatrix} A & B \\ O & D \\ \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} P & O \\ O & Q \\ \end{bmatrix} \begin{bmatrix} I & X \\ O & I \\ \end{bmatrix}
と表す。右辺の積を求めると、
 \begin{bmatrix} P & O \\ O & Q \\ \end{bmatrix} \begin{bmatrix} I & X \\ O & I \\ \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} P & PX \\ O & Q \\ \end{bmatrix}
となる。あとは最初の式と比較すると、 P=A, Q=D, X = A^{-1}Bなので、
 \begin{vmatrix} A & B \\ O & D \\ \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} A & O \\ O & D \\ \end{vmatrix} \begin{vmatrix} I & A^{-1}B \\ O & I \\ \end{vmatrix} = |A||D|
となる。

(応用1-2)ブロック下三角行列
 \begin{bmatrix} A & O \\ C & D \\ \end{bmatrix}
というパターンである(ただし、小行列Aについて、逆行列A^{-1}が存在しているとする。)
このブロック行列はブロック対角行列とブロック三角行列の積で表されるとして、
 \begin{bmatrix} A & O \\ C & D \\ \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} I & O \\ X & I \\ \end{bmatrix} \begin{bmatrix} P & O \\ O & Q \\ \end{bmatrix}
と表す。右辺の積を求めると、
 \begin{bmatrix} I & O \\ X & I \\ \end{bmatrix} \begin{bmatrix} P & O \\ O & Q \\ \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} P & O \\ XP & Q \\ \end{bmatrix}
となる。あとは最初の式と比較すると、 P=A, Q=D, X = CA^{-1}なので、
 \begin{vmatrix} A & O \\ C & D \\ \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} A & O \\ O & D \\ \end{vmatrix} \begin{vmatrix} I & O \\ CA^{-1} & I \\ \end{vmatrix} = |A||D|
となる。